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『教室内(スクール)カースト』【33】

 鈴木翔『教室内(スクール)カースト』(光文社新書)を読んだ。

 学校,特に中学校と高校の教室内でのグループ間の力関係がどのようなものであるかを,大学1年生と教師に対するインタビューを基にして探求した修士論文を,新書向けに改訂したのが本書である。

 学校のグループは「上」と「中間」と「下」に分けられる。それは生徒にとって「権力」の違いとして認識されている。例えば「『下』には,騒ぐとか,楽しくする権利が与えられていない」(132頁)という。上位のグループの女子生徒が下位の生徒にプロフィール帳を書かせてそれをゴミ箱に捨ててしまう,というエピソード(106頁)には胸が痛むが,それは「いじめとかではない」のだそうだ。

 そしてその地位は固定され,本人の努力では変わらない。

 教師もまたカーストの存在を認識し,しかもそれは生徒個々人の能力によって生まれる当然の結果だと考えている。上位の生徒については「カリスマ性があって,雰囲気を和やかにできる」(235頁)と肯定的にとらえ,下位の生徒については例えば「100%将来使えない」「企業はそういう人間を求めない」(244頁)と考えている。

 下位のグループに属する生徒にとって,学校は,他の生徒からも教師からも,いわば全人格的に低い評価を与えられてる場だということになる。学校は,息の詰まるような場所に違いない。

 少し前に映画にもなり評判を博した朝井リョウの『桐島,部活やめるってよ』(集英社)と共通するテーマで,本書によれば他にもこの種の題材を扱った小説や漫画は多いようだ。そういう作品が数多く発表されることが,教室内に存在する序列や空気の正体は何なのか(何だったのか)という悪夢のような疑問に対する回答を欲している人々が少なくないことを物語っている。

 さらなる研究が望まれる。
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もじゃぽっくる

Author:もじゃぽっくる
神戸在住/35歳/男

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