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『故郷忘じがたく候』【20】

 司馬遼太郎『故郷忘じがたく候』を読んだ。

 3つの短編から成る。

 表題作「故郷忘じがたく候」は,小説というよりはエッセイである。秀吉の朝鮮侵略の時に薩摩に来た朝鮮人の陶工たちの運命と誇りを描いた佳作である。

 「斬殺」は,戊辰戦争で仙台藩を味方にすべく政府軍が派遣した長州の世良修蔵の話。彼は官軍の代表として仙台藩主に会津討伐を命じ,その権高な態度によって恨みを買って,斬首されてしまう。激動の時代にあって持つべき「政治感覚」の欠くことが自らを滅したことの典型を描いた,後味の良い作品ではないが,考えさせられる。

 最後の「胡桃に酒」は,細川忠興とその妻たま(ガラシャ)主人公にした物語である。忠興が嫉妬のあまり関ヶ原の直前に妻ガラシャを殺した話は他の小説でも度々言及されていた。だから,忠興がどのような人物なのかは気になっていた。司馬はその狂気の部分を余すところなく描いている。
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もじゃぽっくる

Author:もじゃぽっくる
神戸在住/35歳/男

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