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『トルコのもう一つの顔』【19】

 小島剛一『トルコのもう一つの顔』(中公新書)を読んだ。

 著者はフランス在住の言語学者である。トルコの少数言語を研究するため毎年夏にトルコに長期滞在した。

 研究の旅は,トルコ人の親切に感動するところから始まる。しかし,クルド人問題を抱えるトルコでの調査は身の危険と隣り合わせだった。当時のトルコは,少数「言語」の存在すら認めていない。それらはトルコ語の「方言」である。別言語ではない――。それに反する見解は,少数民族の分離独立運動に根拠を与えるものとして,迫害の対象となる。

 著者は,ある時は反政府運動家と間違われて真夜中に叩き起こされて拘置所に監禁され,またある時は政府のお目付け役が同行して何かと調査を妨害してくる。その苦労を乗り切って,それぞれの言語で現地の人々と交流し,信頼を勝ち得,友人となっていく過程には,目を瞠るものがある。

 文句なしの名著だ。私の文章ではその魅力が伝わりにくいと思うが,繰返し読む価値がある。続編も単行本で出たようだ(『漂流するトルコ―続「トルコのもう一つの顔」』,旅行人)。早く新書版でも出してほしい。
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もじゃぽっくる

Author:もじゃぽっくる
神戸在住/35歳/男

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