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『功名が辻』【4-7】

 司馬遼太郎『功名が辻』を読んだ。

 山内伊右衛門一豊と千代の夫妻を主人公にした歴史小説である。一豊は,初め織田家に仕え,次いで秀吉の下で働いて掛川6万石城主となり,最後は家康に与して土佐24万石の国主となった。小説では,一豊を動かした千代の機略が余すところなく描かれており,興味深い。大河ドラマにもなった。

 が,読後感が良くない。

 一豊は家康から土佐一国を与えられた。与えられたものの,国内では長宗我部の残党が反乱を繰り返し,容易に治まらない。初めはその都度鎮圧していた。最後は,郷村の武勇自慢の者を反乱予備軍とみなし,これを詐略で一箇所に集めて皆殺しにする。そこで本編が終わる。

 『新史太閤記』はそうではなかった。秀吉を描いた長編である。この小説で,司馬は,秀吉の幼少期から,信長の下で頭角を現し,やがて中国戦線を任され,本能寺後に光秀を滅ぼし,勝家を破り,家康を臣従させて天下を取るところまでを扱った。外政と乱費で諸侯の恨みを買った秀吉の後半生にはあえて触れていない。

 2人の主人公に対する司馬の視線の温度差が見えるようである。
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もじゃぽっくる

Author:もじゃぽっくる
神戸在住/35歳/男

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